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離婚の法律

 

 

 

法定離婚事由

 

離婚訴訟を 起こす場合、民法で定められている法定離婚事由がなければ訴訟を起こすことができません。また、相手が離婚を拒否してきた場合にも、法定離婚事由を根拠と して離婚を突きつける事になりますので、最終的にこれらを満たしているかどうかが重要カギとなります。


もちろん、 当事者間で合意して解決する場合は法定離婚事由を必要することはありません。
このように 重要な法定離婚事由ですが、法定離婚事由は下記の事由が挙げられます。

 

 

配偶 者の不貞行為

夫婦は貞操 を守る義務を負っています。

即ち、結婚 することによって、他の者と性的関係を持つことは許されなくなるのです。
この義務違 反、つまり配偶者以外と性的関係をもった事を理由として、離婚の請求をすることができます。
ただし、そ の不貞行為によって婚姻関係を修復不能なほど破綻させるに至ったかどうかが重要であり、1回限りの浮気を取り上げて離婚を請求できるかどうかは状況に応じ て判断が異なります。
不貞とは、 ある程度継続的である場合を指すと言えるでしょう。
ただ、配偶 者の1度きりの浮気が原因で夫婦仲が不調になり、離婚を思い立つに至った場合などは、『その他の婚姻を継続しがたい重大な事由』に該当する可能性も考える ことができます。
また、実質 的に夫婦関係が破綻してしまっている状況で、配偶者の一方が第三者と性的関係に及んだとしても、それは不貞行為とはみなされず、この場合もまた「その他婚 姻継続し難い事由」に該当する可能性を考慮します。

配偶者が同 性愛者であった場合も不貞行為とは言えず、この場合もまた「その他婚姻継続し難い事由」に該当します。

配偶 者の悪意の遺棄

民法では夫 婦に対し、同居義務・協力義務・扶養義務が課せられています。
これらに反 した行為を民法では「悪意の遺棄」として法定離婚事由としています。
具体的に は、次のような場合に悪意の遺棄に該当すると言われています。
・特に理由 もなく、ほとんど家に帰らない又は帰宅拒否
・就職可能 な状態の夫が、まったく職に就こうとしない
・同居はし ているが、まったく生活費を入れない
しかし、い くら同居義務があるからといっても、「愛人を作った配偶者に嫌気がさし、家を出た」「夫の暴力から逃れる為の別居」というような場合は悪意の遺棄には該当 しませんが、念の為、冷却期間である旨を内容証明で通知しておくべきかと思います。

配偶 者の3年以上の生死不明

配偶者が家 を出たまま生死もわからず音信不通となってしまい、その状態が3年以上継続した場合がこれにあたります。
これについ ては別ページで詳しく解説します。

配偶 者が回復の見込みがない強度の精神病なった場合

精神病かど うか、また回復の見込みがないかどうかは医師の診断によるものとなります。
しかし、こ れに該当するという診断結果が出たとしても、

     治療が長期に渡るもので

     離婚を請求する配偶者がこれまで生活の面倒などを見て

     離婚後の看病や医療費は誰が出すのか?

等の具体的な 取り決めまでを裁判所は求めており、精神病にかかった配偶者の今後の生活のメドがある程 度確立していなければ、離婚が認められるのは難しいと言われています。
また、精神病 にかかってから今までの看護の経過、医師の意見等を総合的に考慮して離婚の適否が判断されますので、配偶者が精神病で入院したら即座に離婚事由となるもの ではありません。


離婚原因とし て該当するものに下記のようなものがあります。
・躁鬱(そう うつ)病
・早期性痴呆
・麻痺性痴呆
・初老期精神 病
・偏執病

下記のようなものは離婚原因となる精神病には該当し ません。
・重度身体障 害
・植物状態
・アルコー ル・薬物中毒
・アルツハイ マー病
・ノイローゼ

ただし、回復の見込みがない強度の精神病に該当しな い場合でも、「その他婚姻継続し難い事由」に該当する可能性が考えられることでしょう。

 

ちなみに強度の精神病の患者は意思能力を持ち合わせているとは言えませんので、強度の精神 病の患者を被告とすることは出来ません。

強度の精神病を理由として裁判を起こす場合は、家庭裁判所などで成年被後見人の審 判を受けてから、強度の精神病患者の代理人となる者に対して訴えを起こすことになります。

 

その 他の離婚を継続しがたい重大な事由

この定義は 幅が広く、様々なケースが考えられますが、およそこれに該当する可能性のある事例は下記の通りです。

【性 格の不一致】


単に性格が合 わない、というだけでは認められず、それを原因として夫婦関係が破綻し、別居期間が長期に渡るなどのような修復が不可能であると判断される場合に認められ る場合があります。

【性 の不一致】


体調不良など の正当な理由により性交渉を拒否された等の場合は該当はしません。
しかし、特に 理由もなく長期にわたる性交渉の拒否や、配偶者が同性愛者である、性的嗜好が異常、異常に強い性欲、性に嫌悪感を抱いている潔癖症等のような場合には離婚 を認められる場合があります。

【重 い病気や障害】
献身的な看病 をしてきたが、看護が長期に渡り、それ以上の負担、犠牲を強いることが適当でないと判断される場合に認められる場合があり、重病だからといって即離婚が認 められる訳ではありません。

【配 偶者に対する暴力や虐待】
一過性の暴 力・虐待に関しては認められる可能性は低いと思われます。

これを理由 とする離婚を考えている方は、暴行を受けたときの医師からの診断書をとっておくようにしましょう。
それが常習的 なものであるようなら、離婚が認められると思われます。

【親 族間の不和】
例えば、夫の 親族と妻の間で激しい対立が起こり、それがもとで夫婦関係に亀裂が生じ、その関係が修復不可能であるなど、夫婦関係が破綻してしまっている場合などがこれ にあたります。
この場合、親 族側の違法な行為によって離婚せざるを得なくなった場合は親族側に慰謝料を請求することができます。

しかし、程 度の問題によりその訴えが退けられる場合もあり、具体的な程度によって判断されると考えた方が良いと思います。

【借 金癖・ギャンブル依存などのような浪費】
このような浪 費に関しては、その家庭の事情によって異なると思います。

例えば生活 水準とお金の使い道や働いているのかどうかといった生活態度を考慮すべきです。

これらを考 慮した上で夫婦間の信頼関係が崩壊し、婚姻関係が破綻してしまっていると認められる場合は、その程度に応じて離婚が認められます。

【常 軌を逸した宗教活動】
宗教活動を行 うこと自体は憲法で認められた正当な権利ですので、特定の宗教を信仰している等の理由をもって、すぐさま離婚が認められることはありません。
しかし、その 宗教活動がエスカレートし、生活水準に見合わない多額のお布施、信仰を強要する場合などのように日常の生活に影響を及ぼす場合や家庭の安息が失われるなど 夫婦関係に破綻をきたす場合に離婚が認められます。

 

☆専門家なんて怖くない!

 

再婚禁止期間

男性は離婚 後すぐに再婚できますが、女性 は離婚後6ヶ月間再婚することは出来ません。一見不公平に見えますが、女性が禁止期間前に再婚 し、子供が出来た場合、誰の子供か分からなくなってしまうことを防ぐためです。

 再婚が禁止されると、内縁関係として生活する女性もいるかと思います。では、再婚禁止期間中に生まれた子供は誰の子供なので しょう?
民法ではこのような場合の規定があり、親を推定するそうです。
 その条文によると、
「婚姻成立から200日後、婚姻解消の日から300日以内に産まれた子は前夫との子供と推定します。」

 

☆専門家なんて怖くない!

 

夫が死亡したの で姑と縁を切りたい

夫とはうま く生活できていても、夫の家族とはうまくいかない…。
そんな方も結構います。夫が亡くなった後もガミガミうるさい姑にうんざりしてしまうこともあるかもしれません。姑や舅の面倒を 見たところで相続出来ないのでは、いっそのこと実家に帰ってしまいたい…このように考える方もいるかもしれません。

しかし、夫が死亡して、夫の家族に縁を切る意思表示をして実家に帰れば姻族関係が終了するものではありません。
離婚届は配偶者が死亡しているので作成不可能です。
このような場合、「婚姻関係終了届」というものを本籍地の市区町村役場に届け出ます。
この手続をしたからといって相続分がなくなるというものではありません。というのも、相続は死亡によって開始されるもので、死 亡の時点で婚姻関係がある以上は相続人としての資格を満たしているという理由からです。

 

☆専門家なんて怖くない!


未成年者と離婚

 

未成年者で も結婚することが出来ます。
そして、
結婚すると成人扱い(成年擬制という)になることです。といってもタバコや酒が解禁になるわけではなく、飽 くまでも民法上成人として扱うわけです。
どういうことかと言うと、民法では未成年者の権利義務を制限しているのですが、この制限が無くなるということです。例えば日常 の買い物以外は法定代理人(普通は親)の同意が無ければ契約が取り消されることもありますが、婚姻すると法定代理人の同意を得なくても契約ができるわけで す。

では、未成年者が離婚するとまた未成年になってしまうのでしょうか?
答えはNOです。
成年だった者が未成年になってしまうのでは、そのような人と取引した人の権利が害されてしまいます。従って親の同意が無くても 離婚することができ、また、離婚しても民法上は成年扱いのままなのです。

よく、結婚しないと一人前ではない、と言う人がいますが、このような言葉の理由はこんなところから来ているのかもしれません ね。

 

 

離婚と制限能力 者


制限能力者と は、成年被後見人、被保佐人、被補助人、未成年者、任意後見契約の委任者を指します。

成年被後見人とは、精神上の障害により事理弁識能力を欠く常に状況にある者を言い、
被保佐人とは、精神上の障害により事理弁識能力が著しく不十分な者を言い、
被補助人とは成年被後見人や被保佐人ほどではなくても判断能力が不十分なため、何らかの保護を必要とするものを言います。
これらは家庭裁判所でそれぞれ成年後見人、保佐人、補助人が選任されることによって開始され、一定の行為はそれぞれ成年後見 人、保佐人、補助人の同意が必要なケースがあります。

未成年者は言うまでも無く20歳未満の者を指し、20歳までは当然法律行為に制限を受けます。但し、婚姻により、民法など一定 の法律では成年者として扱われます。

任意後見は、将来の病気などに備えて公正証書により一定の権限を受任者に与え、家庭裁判所が受任者を監督する者を選任したとき から一定の権限を受任者に付与するという制度です。

これらは数年前までは「無能力者」と呼ばれ、禁治産者、準禁治産者と言ったほうが分かりやすい方もいるかもしれません。

前置きが長くなってしまいましたが本題です。

制限能力者が離婚する場合には、代理人などの同意が必要なのでしょうか?

結論から申し上げると、「離婚」という行為自体は同意を必要とせず、制限能力者が単独で離婚することが出来ます。

でも、離婚協議書には同意が必要です。

どういうことかというと、離婚というのは身分(戸籍)に関する事なので、制限能力者でも個人の意思を尊重する観点から、自由に 離婚することが認められています。

しかし、離婚協議は基本的に離婚による財産の清算という内容の書面ですから、同意が必要となります。保佐人、補助人はほとんど の契約を単独で行うことが出来ますが、離婚協議に関しては、決して安い金額の話ではないので、同意が必要になることでしょう。

ちなみに親権の問題は、身分事項である離婚届に記載することになるので単独で行うことが出来ます。

 

離婚後に生まれ た子供について

 

 

女性は離婚 後、6ヶ月間は再婚が出来ないこと、理由は離婚後に生まれた子供が誰の子であるかを確定するためである、と言うことは以前お話しましたが、実際に離婚した 後に妊娠が発覚した場合、その子供はどのような基準で父親が決まるのでしょうか?

 民法はこのように「離婚後間もなく妊娠した場合」に生まれた子供についての定めがあります。

 それは、離婚後300日以内に生まれた子供は前の夫の子供と推定し、300日後に受けた子供の場合は、認知されてはじめて前 の夫の子供となります。
 そして、夫はその生まれた子供について自分の子供ではないと思う場合は「嫡出否認の訴え」を裁判所に起こすことになります。

 現代は科学の進歩によって遺伝子を調べれば誰の子供かが分かるのでこのような規定はナンセンスな気もしますが民法ではこのよ うな規定があり、その事実を覆す手続を踏まえなければ法律の定める規定によって子供の父親が決まるのです。

 

 

離婚後に生まれ た子供について

 

女性は離婚 後、6ヶ月間は再婚が出来ないこと、理由は離婚後に生まれた子供が誰の子であるかを確定するためである、と言うことは以前お話しましたが、実際に離婚した 後に妊娠が発覚した場合、その子供はどのような基準で父親が決まるのでしょうか?

 民法はこのように「離婚後間もなく妊娠した場合」に生まれた子供についての定めがあります。

 それは、離婚後300日以内に生まれた子供は前の夫の子供と推定し、300日後に受けた子供の場合は、認知されてはじめて前 の夫の子供となります。
 そして、夫はその生まれた子供について自分の子供ではないと思う場合は「嫡出否認の訴え」を裁判所に起こすことになります。

 現代は科学の進歩によって遺伝子を調べれば誰の子供かが分かるのでこのような規定はナンセンスな気もしますが民法ではこのよ うな規定があり、その事実を覆す手続を踏まえなければ法律の定める規定によって子供の父親が決まるのです。

 

☆専門家なんて怖くない!

 

死産と婚約破棄

 

子供が出来 たため婚約をする。
よくある「出来ちゃった婚」今は「授かり婚」と言うらしいですが、子供が出来たことにより婚約をするケースは多いようです。
これを機会に結婚してうまくいく家庭もたくさんありますが、中には婚約後に子供を生むことが出来ず流産してしまうケースも存在 します。

このようなケースでは、婚約を破棄できるのでしょうか?

婚 約を破棄するには正当な理由が必要とされます。例えば、婚約したにも関わらず、他の人と交際を続けている…などが代表例です。
普通に考える と、妊娠の事実は婚約には関係ありません。従って、子供が生まれなかった事を原因とする婚約破棄は認められません。
このように婚 約破棄が認められないといっても、これは訴訟の上での話であって、協議でお互いが納得すれば婚約破棄をすることもできるでしょうが、こういった場合は男性 側は慰謝料を払うことを覚悟するべきかと思います。

 

 

 

学歴詐称と婚約 破棄

 

婚約者が学 歴を詐称していました。婚約を破棄したいのですが慰謝料を支払わなくてはならないのでしょうか?

正当な理由が無くて婚約を破棄すると慰謝料を請求される。これは周知の通りです。
慰謝料を払うくらいなら我慢して結婚しよう。と考える方もいるかもしれません。

しかし、学歴詐称は婚約破棄の正当な理由になります。これは、結婚した際の生活という「利益」が少なくなってしまうということ に起因するかと思います。従って慰謝料を払うことはありません。


では、結婚してから数年たったときに学歴詐称が発覚した場合はどうなるのでしょう?
先ほどの考え方からすると、詐称していたとしても、結婚生活で得られる「利益」に不満を持たなかったので、離婚は認められない と思います。
なぜ?と思うでしょうが、お互いが離婚するという意思が無ければ協議や調停も流れてしまい、最終的には裁判で決着をつけること でしょう。
しかし、以前も説明しましたが、裁判には法律で定められた理由が必要ですが、学歴詐称はどれにも該当しないと思います。従って 裁判離婚は認められる可能性は低いと思われます。


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